HP(ヒューレット・パッカード)から販売されているモバイルプリンター「OfficeJet 200 Mobile」。2016年の5月に発売開始の機種なのでいまさら感がすごいです。でもコンパクトなプリンターを求めている人からは今でも支持されてる製品みたいです。そんなOfficeJet 200 Mobileの外観や機能について詳しく紹介していきます。
モバイルプリンターの種類
現在販売されているモバイルプリンターは機能によって大きく3つに分けられます。
- 写真印刷特化フォトプリンタ
- A4印刷可能、インクジェットプリンタ
- A4印刷可能、感熱プリンタ
1番目の写真印刷特化のものは印刷可能な用紙サイズがL版程度に制限されていたり、インクカートリッジを使用しない代わりに専用の紙が必要となったりします。その代わり、サイズが小さく、かばんなどで持ち運びやすくなっています。
2番目のA4印刷可能なインクジェットプリンタは通常のインクジェットプリンタに最も近い製品です。A4でのカラー印刷をしたい人はこの製品がおすすめです。しかし、他の種類と比べるとサイズが大きい傾向があります。
3番目のA4印刷可能な感熱プリンタは専用の紙に熱を加えることで印字を行います。サイズが小さく、インクを使用しないため消耗品が紙のみという特徴があります。しかし、モノクロでしか印刷できない、専用紙が必要といった欠点もあります。
モバイルプリンタを選ぶ際は利用したい機能や運用に仕方を考えて、それにあった製品を選ぶ必要があります。
今回紹介するOfficeJet 200 Mobileは2番目のA4印刷可能、インクジェットプリンタに該当する製品となっています。
開封・セットアップ
OfficeJet 200 Mobileの購入ページ
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それでは開封とセットアップを行っていきます。
外箱はこんな感じ。ダンボールなどはなく透明なビニールで包まれた状態で届きました。無駄な梱包がなくて好印象。
付属品は説明書、保証書、カラーインク、黒インク、電源ケーブル、USBケーブルです。
電源ケーブルは一般的なメガネケーブルなので汎用品を購入して長くしたり短くすることもできそうです。USBケーブルはプリンターで一般的なAコネクタ-Bコネクタのケーブルです。また、ネットワークを使用する場合はUSBケーブルを使用することなくセットアップ、印刷が可能です。
製品の外観を見ていきます。
上面にはHPのロゴ、前面には製品名が記載されています。前面の下側のすき間が排紙口です。紙を受け取るトレイなどはないシンプルな構造です。
背面には別売のバッテリー取り付け部と電源ポート、USBポート、ケンジントンロック用の穴があります。
早速、電源ケーブルを差してセットアップを行います。
ケーブルを差して電源ボタンを押すと起動します。
その後、インクカートリッジの装着、ネットワークの設定、テスト印刷、などを行いました。ネットワークにはWiFiで接続しますが、WPSプッシュボタンにも対応しているためスムーズに接続できました。
パソコンから印刷する場合
パソコンから印刷するのでドライバーのインストールに移ります。
ドライバーはこちらのサイトからダウンロードしました。一番上の「HP OfficeJet 200 モバイルプリンターシリーズ全機能のソフトウェアおよびドライバー」をダウンロードします。
ダウンロードしたファイルを実行するとセットアップが始まります。プリンタをパソコンと同じネットワークに接続していればすぐに見つかると思います。
スマホ・タブレットから印刷する場合
スマートフォンやタブレットから印刷する場合は専用のアプリをインストールします。
HP Smart
Apple App Store Google Play Store
Androidの場合、印刷プラグインとして以下のアプリも提供されています。
このアプリをインストールすることでドキュメントだけでなくChromeを経由してWebページの印刷なども可能になります。
スペック紹介
ここでOfficeJet 200 Mobileのスペックを紹介します。 HPの製品ページ から抜粋しました。より詳しい仕様はHPの製品ページで確認してください。
印刷速度 | モノクロ AC電源利用時 : 約10枚/分 バッテリー利用時:約9枚/分 カラー AC電源利用時 : 約7枚/分 バッテリー利用時:約6枚/分 |
印刷解像度 | モノクロ(最高):1200×1200dpi カラー(最高):4800×1200dpi |
両面印刷 | 手差しで可能(ドライバをインストールしたPCが必要)、モバイル端末では不可 |
用紙の種類 | 普通紙、インクジェット専用紙、フォト用紙、はがき、インクジェットはがきなど |
用紙サイズ | A4、A5、A6、B5 (JIS)、封筒(長形3号/長形4号)L判、2L判、はがき、往復はがき |
給紙容量 | 普通紙:50枚 はがき:20枚 |
インク | 黒:顔料系インク シアン、マゼンタ、イエロー:染料系インク |
対応OS、システム要件 | Windows® 10, 8.1, 8, 7 (32bitまたは64bit) Windows® Vista® (32bitのみ) Windows® XP SP3またはそれ以降(32bitのみ) Mac OS 10.15 Catalina、Mac OS 10.14 Mojave、Mac OS 10.13 High Sierra、Mac OS 10.12 Sierra、 Mac OS X El Capitan(v10.11)、OS X Yosemite(v10.10)、OS X Mavericks(v10.9) 詳細は |
インターフェイス | USB 2.0、無線LAN802.11b/g/n (2.4GHz) |
本体外形寸法(幅×奥行×高さ)/重量 | 364 × 186 × 69mm / 2.1kg (バッテリーを含めた場合は2.2kg) |
注意点は以下の3点。
- バッテリーは別売
- WiFiは2.4GHz帯のみ対応
- セットアップにインターネット接続が必須
コンセントのない環境での仕様を考えている人はバッテリーを別途購入する必要があります。価格はHPダイレクトで税抜7,000円。
WiFiは2.4GHz帯のみ対応なので、現在5GHzのみを使用している人は注意が必要です。
またセットアップにインターネット接続が必須です。セットアップが完了すれば、ネットのない環境でも使用可能です。
ここからは実際に触ってみて感じたことを書いていきます。
筐体は小さい。持ち運びも不可能ではないが…
良かった点、まず1つ目はサイズについて。モバイルプリンタをうたっているだけあって筐体は非常にコンパクト。 スペックで 364 × 186 × 69mm と記載されているように、幅は比較的あるが、奥行きと高さが非常に小さい。通常のコピー、スキャン機能付きの複合機と比べると設置面積は半分、体積は1/3ほどに感じました。これまで、プリンタをおいていた場所が有効活用できるようになります。
一方、重量はバッテリーなしで2.1kgとそこそこあります。一般的な複合機は軽くても4kg。重いと8kgにもなるのでそれと比較すると十分軽いです。しかし、持ち運ぶとなると、今までの荷物に2Lペットボトルを追加するような感覚です。 ちょっとした筋トレになる重量です。
自宅でしか使用しない人や車移動の人はあまり気にしなくてもいいですが、頻繁に持ち運ぼうと考えている人は慎重に考える必要があります。
印刷品質は悪→良へ改善
このプリンターは黒に顔料系インク、カラー3色に染料系インクを採用しています。
4色インクでありながらインクの噴射を工夫することでなめらかなグラデーションを実現しているそうです。
4色インクでキレイな印刷を実現!
デュアルドロップボリュームテクノロジー採用
色の再現性はインクの数だけでは決まりません。HPは2種類のインクドロップを適切な組み合わせで噴射する『デュアルドロップボリューム テクノロジー』を採用しています。滑らかな 美しさを表現するため、小さな粒子のすきまに極小サイズの粒子を最適な状態になるように色を入れ、きめ細かく仕上げます。黒・シアン・マゼンタ・イエローの4種類で、黒はくっきり、カラーはグラデーションも美しく再現し、高画質で鮮やかな印刷を実現します。
出典: HP OfficeJet 200 Mobile プリンター製品詳細
期待しながらテスト印刷してみました。テストにはプリンター印刷テスト用 線・色パターン用紙を使用させていただきました。
印刷結果をスキャンしたものが下の画像です。各色とも単色での表示は正常ですが、混色の印刷において横方向への微妙な位置ずれが起きています。垂直線の部分をみると途中で太くなっているのでよく分かると思います。色の綺麗さよりも読む媒体としては正確な印刷が重要です。なんとしても改善しなければなりません。
そこで、HPサポートページにアクセスし、バーチャルチャットで聞いてみました。
いくつかの質問に答えていくと以下のページを紹介されました。
HP OfficeJet 200モバイルプリンター – 印刷品質問題の解決
このページの「ステップ11: プリンターを位置調整する」で解決できそうだったので指示通りにプリンタの調整を行いました。
インク カートリッジを正しく調整、プリンタにプリント ヘッドを調整します。
出典: HP OfficeJet 200モバイルプリンター – 印刷品質問題の解決
1.プリンターのコントロール パネルのホーム画面で、矢印ボタンを使用して、[セットアップ] を選択し、[OK] を押します。
2.下矢印 を押して [ツール] を選択し、続いて [OK] を押します。
3.下矢印 を押して [プリンターの調性] を選択し、[OK] を押します。コントロール パネルに [調整中…] と表示されます。 プリンターがビープ音または機械音を出し、プリンターが調整ページを印刷します。
プリンタの調整を行った後、もう一度テスト印刷を行いました。その結果が下の画像です。
色ズレもなく、見事に品質が改善されています。文字の黒もくっきりと印字できており、十分実用的な品質です。もし、色がずれていたり、線が滲んだときはこの操作を行ってみてください。
この勢いで写真を印刷してみました。L版光沢写真用紙を使用し、用紙の種類:HPフォト用紙、品質:最高で印刷しました。下の画像は印刷後4時間経過したものをスキャンしています。
ディスプレイでの表示と比較すると黒の締りが弱く、全体的に白っぽい印象を受けました。また、緑があまりにも出てない気がします。色の違いについては表示している環境などで結構異なるので参考程度に見てください。キャリブレーションなども行っていません。
カラーのみでは黒を表現できない点でこのプリンタは写真の印刷には向いていません。ただ、色の階調や精細感は十分表現できているので、文章中の図、画像はきれいに印刷できると思います。
気になる印刷コスト。インクの消耗は?
次に印刷コストについてです。HPのサイトに記載のインク価格と印刷可能枚数から計算すると以下のようになります。通常サイズでのコストはあくまで想定価格です。
モノクロ印刷 | カラー印刷 | L判印刷 | |
---|---|---|---|
印刷コスト (通常サイズ) | 約 7.0 円 /枚 | 約 17.3 円/枚 | 約 23 円/枚 |
印刷コスト (増量) | 約 4.5 円/枚 | 約 11 円/枚 | 約 14.5 円/枚 |
※L版印刷は増量カラーインクで約186枚印刷可能な計算。この値を使用すると通常サイズでは約74枚しか印刷できない。
増量インクを使用することでキヤノンやエプソンの通常の複合プリンタと比較しても遜色ないコストに抑えることができます。通常サイズのインクではコストが約1.6倍になるので黒インクだけでも増量インクを購入することをおすすめします。
注意点はカラーインクが3色一体となっていること。
カラーインクが一体となっているため、シアン、マゼンタ、イエローのうち1色がなくなるだけでカートリッジ全体の交換が必要になります。すべての色をまんべんなく使い切ることはそうそうないので、実際にはカラー印刷のコストはもっと高くなると思われます。
プリントヘッド一体型カートリッジで目詰まりの心配なし
HPのプリンタの特徴にインクカートリッジとプリントヘッドが一体となっていることが挙げられます。つまり、インクを交換するたびに、インクを噴射するノズルも新品に交換されているということです。この方式を採用したプリンタはキヤノンの一部とHPのみです
この方式のデメリットはインクカートリッジの価格が高くなってしまうこと。
しかし、ノズルが詰まってもカートリッジ交換で直るというメリットがあります。印刷頻度が低いとノズルが目詰まりする恐れがあり、万が一目詰まりすると修理に出す必要があります。その点、このプリンタはインクを交換すれば復活するので印刷の頻度が低い人にはおすすめできると思います。
片方のインクが切れても印刷可能
このプリンタは黒、カラーのどちらかのインクが切れても印刷が可能です。
実際に印刷テスト用原稿を黒インクのみ、カラーインクのみで印刷してみました。
黒インクのみでは当然モノクロ表示になりました。文字に関しては全色使用時と全く同じ濃さ、精細さで印刷できました。
カラーインクのみではカラー部分は全色使用時と同様に印刷できましたが、文字などの黒い部分は灰色となりました。これはカラーの3色を混ぜ合わせて黒を再現しているためで、製品ページにおいても以下のように記載されています。
※ カラーインクで黒を再現する時は、3色混合で黒色を再現する為グレー寄りの黒になります
出典: HP OfficeJet 200 Mobile プリンター製品詳細
文章印刷がメインの場合は文字の綺麗さが重要になってくるので、黒インクは予備を持っておいたほうが良さそうです。
まとめ
今回はHPのモバイルプリンタ OfficeJet 200 Mobile を紹介しました。特徴をまとめてみて、この製品は以下のような人におすすめだと考えました。
- プリンタを持ち運びたい人・プリンタの置き場に困っている人
- 文章印刷がメインの人
- 印刷頻度が低い人
モバイルプリンタを探している人の参考になれば嬉しいです。ご質問などあればコメントで聞いてください。
読んでいただきありがとうございました。では、また!
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