一端が固定されているときのアイスプライスの作り方

Maintenance

こんにちは、オニオンです。ご覧いただきありがとうございます。

今回はロープの片方が固定されている場合のアイスプライス作成方法について説明します。以前、基本のスプライスとして両端が自由な場合のアイスプライスの作り方を紹介しました。作り方としては前回のほうが簡単ですが、両端が自由でないと作れません。以前の方法では作れないときに今回紹介する方法を試してみてください。それでは説明していきます。

どんなときに使うのか

基本的にアイスプライスはもやい結びの代用として使うことが出来ます。ロープの端に輪があるという構造は同じだからです。しかし、その作り方の違いから適用できる場合と出来ない場合があります。

構造の場合分けとそのときにもやい結び、アイスプライスのどちらが最適なのかをまとめた記事は今後作成する予定です。今回紹介する一端固定のアイスプライスは以下の条件のときに適用可能です。

◎ ロープの反対側がすでに固定されているとき
◎ ロープが艇体やマストの中を通っているとき

ただし、以下の条件では適用できません。

× 新たに作るアイスプライスに何かを通しておく必要があるとき

リングにスプライスしたいときは基本のスプライスかもやい結びにします。シャックルやカラビナをあとから付けるときは今回紹介するスプライスでも大丈夫です。あなたがアイスプライスを作りたいと考えている箇所は上の条件を満たしているでしょうか。満たしていれば今回紹介する方法でアイスプライスが作れるはずです。

準備するもの

アイスプライスをするために以下のものを準備します。

  • シングルブレードのロープ(今回は直径3mm)
  • 定規 または メジャー
  • フィズ(細いもの)
  • スプライスワイヤー
  • ペン
  • ハサミ または カッター(よく切れるものが望ましい)
  • マスキングテープ
作業に必要なもの

この7点があれば大抵のスプライスは出来ます。フィズとスプライスワイヤーは買ってください。細い筒とか針金で代用できると思うかもしれませんが、専用の道具のほうが10倍、いや100倍は使いやすいです。試したことがあるので間違いないです。作業のモチベーションが下がるとスプライスをしなくなる。スプライスをしないと艇のパフォーマンスは変わりません。道具さえあれば、スプライスは手軽にできます。道具は買いましょう。

作り方

前回同様、Premium Ropesの動画を参考にしています。合わせて見てみてください。

Premium Ropes 7.2.2 How to make a locksplice in single braided Dyneema rope (one end fixed)

7.2.2 How to make a locksplice in single braided Dyneema rope (one end fixed)

では作業を開始します。

1. マーキング

スプライスをするときはまず初めにマーキングをつけます。マーキングをつけておくことで想定通りに輪のサイズを作ることができます。

まず、ロープの端から18cmの位置に印をつけます。18cmの理由は以下の式からです。

入れ込む部分の長さ[mm] = ロープの直径[mm] × 60

ロープの内側に入れ込む部分の最適な長さはロープの直径に60をかけた値ということです。今回は直径3mmのロープを使っているので

3mm×60=180mm=18cm

になります。直径4mmなら24cm必要です。

4mm×60=240mm=24cm

長いと思うかもしれませんが短いとテーパー部分が抜けやすくなったりするので、しっかり確保しましょう。また、ロープを購入する段階で長さに余裕を持って買っておく必要があります。

18cmの位置につけた印をAとしておきます。

ロープの直径[mm] × 60 の位置に印をつけます

次に作りたい輪っかのサイズに合わせて印Bをつけます。分かりやすいように赤色でマーキングしました。輪っかのサイズは用途によって変わります。

輪っかを作って印Bをつけます

2. 編み込み①

まず、印Bにフィズを差し込みます。そしてロープの端をフィズに通し、引き抜きます。

Bにフィズを差し込みます

これで固定されていませんが輪っかが出来ました。

輪っかが出来ました

AがBを通り過ぎている状態にします。

端を引っ張ってAがBを通り過ぎているようにします

3. 編み込み②

Aにフィズを差し込みます。AがBを通り過ぎていることを確認してください。

Aにフィズを差し込みます

そして作っていた輪っかをフィズに差し込み、輪っかごと印Aを通します

輪っかをフィズに差し込みます

フィズと輪っかをマスキングテープで固定しておくと通りやすいです。

マスキングテープで固定しておきます
きついですが頑張って通します
なんとか通りました

印Aの部分にも輪っかが出来ますが、優しく引っ張って輪を無くします。輪がなくなると代わりにAの部分にツイスト(ねじれ)ができています。

Aにある小さい輪っかを無くします
Aにあった小さい輪っかが無くなりました

4. ねじれ解消

次に印Aにできてしまったツイスト(ねじれ)を解消します。印Aにフィズをロープと平行に差し込みます差し込む方向は固定されている側から印Bに向かってです

Aにフィズを差し込みます(向き注意)

差し込んだら短いロープの端をフィズに通し、引き抜きます。

端をフィズに差し込みます
通りました

輪ができますがこれも優しく引っ張って輪を無くします。

Aにできた輪っかを無くします
引っ張っていきます
輪っかが無くなりねじれも解消されました

するとツイストが無くなりました。ツイストが無くならないときはフィズを通す方向が逆だった可能性があります。逆の手順で戻して、逆方向からフィズを差し込んで短いロープの端を通してください。

輪っかと固定されている方のロープを持って引っ張ると編み込みが近づいてロックされます。ここまでできれば前回のアイスプライスと同じです。

ちゃんとロックされています

5. 端を入れ込む

スプライスワイヤーを長いロープに差し込みます。差し込む位置は短く余っているロープよりも5cm長い位置です。ストランドを傷つけないよう、網目を緩めてから差し込みます。

ワイヤーを準備
少し余裕をみてワイヤーを差し込みます

差し込んだらワイヤーをロープの内側を進ませます。輪っかの根本まで到達したらできるだけ輪っかに近い部分から頭を出します

ロープの内側にワイヤーを通していきます
ワイヤーが先端まで来ました
できるだけ編み込みの近くから出します

出したワイヤーに短いロープの端を挟みます。挟んだらワイヤーを引き抜いていきます。外側のロープをダブつかせるのがスムーズに引き抜くコツです。

ロープの端をワイヤーに挟みます
先端に固定します
ワイヤーを引き抜いていきます
外側をダブつかせながら引っ張ります
引き抜けました

ワイヤーを引き抜けたら出てきたロープの端を持って引っ張ります。輪っかの部分がスッキリしました。

出てきたロープの端を持って引っ張ります

6. テーパー

引き抜いたロープをだんだん細くなるようにテーパーしていきます。まず、短いロープをできるだけ引っ張り出します。

フィズを準備

そして、入れ込んだ部分の長さの半分ぐらいの位置からストランドを抜いていきます。

ストランドを抜き取ります

抜き取ったらそこから1~2cm間を開けてもう1本ストランドを抜きます。これを端まで繰り返し、徐々に細くしていきます。

ぞくぞく抜き取ります

先端まできたら先をハサミで斜めにカットします。

抜き取ったストランドをハサミで切ります

7. 伸ばす・プレテンション

テーパーできたらロープを伸ばして内側に入れていきます。輪っかとロープの外側を持ってしごきましょう。テーパーしたロープの端がスルスルと入っていくはずです。先端まで入ったら輪っかと長いロープをもってテンションをかけます。これでテーパー部分に摩擦が生まれ抜けにくくなります。

ロープを引っ張ってテーパー部分を内側に入れます
はい、気持ちいい

これで作業自体は終わりです。

作業終了 – チェックポイント

完成したので、以下ポイントをチェックします。

  • ねじれていない
  • 編み込みの間隔が狭い
  • テーパーの長さが十分確保されていて段差がない
ねじれなし、編み込みきれい
反対側もねじれなし、編み込みきれい

良さそうですね。これで完成です。

基本の方法で作ったアイスプライスと比較してみます。下の写真の上が今回作ったアイスプライスで、下が基本の方法で作ったアイスプライスです。ロックしている編み込み部分は全く同じ構造をしていることが分かります。輪っかのサイズが違うのはマーキングを合わせていないからなので気にしないでください。

▲上:今回作ったアイスプライス。▼下:基本のアイスプライス

まとめ

今回のスプライスは両端が自由なときよりも難しかったと思います。特にねじれを解消するときに差し込む向きを間違えると元の状態にも戻せず、沼にハマります。また、ツイストを繰り返しているとロープの網目が緩んでしまいます。なるべく一発でできるよう、慎重に作業することが大事です。今回のアイスプライスができれば、スプライスが適用できる幅がさらに広がります。早速自分の船で試してみてください。

読んでいただきありがとうございます。ではまた。

コメント

タイトルとURLをコピーしました